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    [日系企業]  ベトナム駐在員事務所の閉鎖における留意点

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    2014年12月18日
     ベトナムに新規進出する日系企業は引き続き多いですが、すでにベトナムに進出している日系企業のベトナム国内での動きも活発化し多様化しています。その中で、今回は駐在員事務所の閉鎖に関して留意されたい事項を述べたいと思います。
     駐在員事務所の閉鎖は、ベトナムから撤退するケースでももちろん生じますが、現在一番多いケースとしては、一定期間駐在員事務所として活動をしていたがより機能を拡充するべく法人を設立する際に駐在員事務所が不要となるケースです。

    ◆概要
    1. REPの閉鎖に関する留意点
    1.1 各種手続の期限について
    1.2 税務について
    1.3 労務について
    1.4 残存資産の処理について
    2. REPの閉鎖と現地法人設立を同時に行なう場合の留意点


    1. REPの閉鎖に関する留意点
    1.1 各種手続の期限について
    現行の法律(※)において、REPの閉鎖手続に関しては、以下の2つの期限が定められています。
    A. REP閉鎖告知の期限
    ・遅くとも閉鎖予定日の30日前までにREPライセンスの発給機関、債権者、労働者及びその他関係者に対してREP閉鎖の通知を提出しなければならない。
    ・管轄の工商局に提出するREP閉鎖予定申請において、REP閉鎖予定日を記入する必要がある。
    従って、閉鎖予定日を申請日より30日以上に設定する必要があります。

    B. REPの未払金の支払期限
    ・REPが自ら閉鎖を決定して申請する場合、REPに関る全ての未払金を遅くとも閉鎖日(=REP閉鎖確認書の日付)の15日前までに返済する必要がある。
    従って、全ての債務返済を終えてから正式にREP閉鎖申請を提出するまで、少なくても15日間を空けておく必要があります。
     
    (※)2006年7月25日交付Decree No. 72/2006/ND-CP


    1.2 税務について
     REPの閉鎖申請にあたって、未払税金のないことを表明する通知書を提出しなければなりません。但し、当該通知書を取得するため、税務署の調査を受ける可能性が高いです。税務調査が入る際にしばしば調べられる内容及びその留意点は以下の通りです。

    A. 調査対象
    1. REPに勤務していた全ての従業員の個人所得税(PIT)の過去の申告・納税の状況
    調査対象資料:
    全ての従業員/駐在員のPITの申告書納税証明及びその付随資料(雇用契約書や任命書等)

    2. REPの全ての入出金取引
    調査対象資料:
    REPの銀行口座の入出金明細、小口の入出金明細、費用に関る証憑(VATインボイス等)

    B. よくある指摘
    1. ベトナム人従業員のPITの追徴課税
    追徴課税の原因:
    ・計算方法の間違い
    ・課税対象となる手当等の加算の忘れ

    2. REP所長のPITの追徴課税
    追徴課税の原因:
    ・過去の計算方法の間違い 
    単純な誤り以外に、2014年頭より発効されたネット給与の新しいグロスアップ方法が過去の分へ遡って適用されることにより追徴課税が発生する可能性が多いです(多くの日本人駐在員のベトナム支給の給与はネット保証給与です)。
    ・証憑の不備
    適切な証憑がない費用又は説明できない費用は「所長の所得」としてみなされ、所長の課税所得の増加となります。

    3. 本社からの出張者のPITの追徴課税
     過去に、出張者に係るホテル代や航空券や日当等の支払がREPから行った場合、当該費用は出張者のベトナムに滞在していた期間中の所得として課税されることとなります。

    4. 業務委託先の個人のPITの追徴課税
     ドライバーやクリーニング業者等の個人に対して報酬を支払う際には10%のPITを源泉徴収して納付する義務があります。しかし、REPにてPIT法をよく理解する総務担当者がいない限りこの源泉徴収がしばしば忘れられています。結果として、税務調査で発見された際に追徴課税と共にそれに係る延滞利息も請求されることになります。

    5. 付加価値税(VAT)の追徴課税
     REPはVATの申告義務がないため、支払時にVATインボイスの入手が不要だとよく誤解されています。しかしながら、REPは一般的な消費者とみなされるため、ベトナム国内での消費に対してVATの支払義務があります。そして、VATを支払っていることの証明としてVATインボイスの入手及び保管が必要となります。
     逆にVATインボイスがない費用は未だVATを払っていないものとみなされ、VAT10%の追徴課税が請求されることとなります。

    C. その対策
     上記Bの指摘及び追徴課税を回避するためには、以下の対策が必要だと考えられます。
      1. 過去のPIT計算方法及び計算漏れがあるかどうかの確認
      2. 各種費用の付属証憑の補足(例:出張費の場合は「出張決定書」)
      3. 本社の代わりに支給していた出張者に関る費用の確認
      4. 業務委託先に対する支払を確認、可能な場合、業務委託先よりPIT10%を回収して納税する。
      5. VATインボイスの入手
      
    1.3 労務について
     REP閉鎖の理由で、既存の労働者との雇用契約を解除するとしても、その手続きはベトナム労働法に従わなければなりません。以下はしばしば忘れられる留意点です。

    1. 雇用契約の解除の予告
     雇用契約の種類に応じてREPから従業員に対して3営業日前~45日前に予告しなければなりません(労働法第38条2項による)。
      ・季節雇用契約:3営業日前
      ・期限付き雇用契約(有期雇用契約):30日前
      ・無期限雇用契約:45日前

    2. 未払給与や退職手当の支払及びの支払期限
     雇用契約終了後、7営業日以内に、従業員に対して全ての未払(給与や退職手当等)を支払わなければなりません。特別の場合(※)、遅くとも30日以内に支払義務を終えなければなりません。
    (※)法律上、「特別の場合」について具体的な定めがありません。

    3. 保険帳返却及び源泉徴収証明の発行
     REPの閉鎖手続完了前、必ず従業員に対して保険帳(※)を返却して、源泉徴収証明(※)を発行しなければなりません。
    (※)保険帳
       従業員は次の就職先に保険帳を預け、それをもって保険料を払い続けなければならない。
    (※)源泉徴収証明
       年末のPIT確定申告に源泉徴収証明が必要である。

    1.4 残存資産の処理について
     REPは営業活動からの収益を禁止されています。しかしながら、閉鎖時の残存資産の処理による収益が認められます。この場合、当該収益に係るVAT及び所得税の申告・納付の義務が発生するため、事前に管轄の税務署への問い合わせが必要となります。

    2. REPの閉鎖と現地法人設立を同時に行なう場合の留意点
     最初に述べたとおりREPの閉鎖と共に現地法人の設立申請を行なう場合が少なくありません。この場合、元のREPの事務所と同じ住所で現地法人を登記する場合もあります。しかしながら、以下の理由によりREPの閉鎖と現地法人の設立申請を同時に行なうことが難しいケースがあります。

    2.1 同じ場所(住所)でREPまたは現地法人のどちらの住所しか登録できない
     現地法人申請書類を提出後、現地法人の本社となる住所にて他社の拠点として登録されていないか調査されます。その時点でREPの閉鎖手続が未だ完了していなければ現地法人の登記住所の変更を要請される可能性があります。REPの閉鎖手続を行っている途中で同じ場所でREP及び現地法人の両方の住所になることはないと約束して当局と交渉することは不可能ではないが確実に了解されるものとは言い難いため、事前の問い合わせが必要となります。

    2.2 REPの所長は現地法人の法的代表者を兼任することができない
     元REP所長が新設の現地法人の法的代表者になる場合もよくあります。この場合、REPの閉鎖が終ってから現地法人の法的代表者登記を行なわなければなりません。

    エスネットワークス・ベトナム (ホーチミンオフィス ハノイオフィス)
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    ニュース提供元:エスネットワークス・ベトナム

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